R･B･Kおもてなし調査隊がいく！今月のPATROLvol.48～53

女性スタッフの案内で部屋へ向かう途中、「今日は太宰府へいらしたんですか？」と聞かれた。チェックイン前に荷物を預けた際、他のスタッフに行先を教えていたが、それが伝わっていたらしい。スタッフ間の連携の良さが窺えた瞬間だった。部屋へ着くと、丁寧でわかりやすい設備の説明があり、最後に笑顔で「ほかに何かご不明なことや、私にできることはありますか」と頼もしいおもてなしワードが！「何かございましたら内線で・・・」の言葉で終わると思ったので、「あなたと私」を感じる言葉で、安心感と、歓迎されていることを実感。

お楽しみの朝食。レストラン入口の男性スタッフがにっこりと「おはようございます。お二人様ですね」と確認し、中の女性スタッフに人数を伝えた。女性スタッフは、すぐに「少し奥になってしまいますが、こちらのお席でいかがでしょうか」と席まで案内してくれた。ビュッフェでは、お客様が多かったにもかかわらず、料理もお皿も常に補充されていて清潔。また、死角になりやすいこちらの席のお皿も、こちらが席を離れている間に下げられていたり、タイミング良く「コーヒーはいかがですか」とおかわりの声をかけてくれたり、目配りもバッチリ。とてもゆったりとした朝食タイムを過ごすことができた。

帰りの荷物は宅配便で送ろうと、ベルデスクに持ち込むと、「横にしていいものか？」など
梱包方法の確認があり、速やかに手続きをしてくれた。後日、
自宅で受け取るととても丁寧な梱包、細部までの気遣いを感じた。スタッフは皆にこやかな表情に落ち着いた動作。サービスのタイミングや距離感が絶妙で、要望を口にすることがないほど至れり尽くせりの対応。
すべきことはきちんと丁寧に、それでいて押しつけがましさやよそよそしさは一切なし。新しくはないが清潔な設備やベッドの上の折り鶴なども含め、日本の老舗らしい「真のおもてなし」を感じることができた旅だった。

雨の街九份にあるこのお店、一見骨董品店のような店構え。中に入ると、お茶や茶道具が上品に並べられていました。レトロな造りの階段を上がると、明るい窓越しに海が広がり、なんとも優雅なお茶室がありました。３階に通されると、店主さんはにっこり笑って、びしょ濡れになった上着を、階段の手すりに広げて干すように、片言の日本語で勧めてくれました。滴で廊下が濡れてしまわないかと気にするこちらに、「気にしなくていい」とジェスチャーで促してくれました。旅行先で濡れた上着が乾かせるのは本当に助かります。優しいなぁ・・・

お勧めの東方美人茶と焼きたてのパイナップルケーキを注文。店主さんはお茶の入れ方を説明しながら、優雅にゆっくりと給仕し、やかんにたっぷり水をはって火にかけ、たくさんお茶の葉が入った袋を渡してくれ、「あとは皆さんでゆっくり楽しんで。残ったお茶の葉はお土産に」と、笑顔で階下へ降りて行きました。まるで知人の家でくつろいでいるような、ゆったり気分でお茶を何杯もお代わりし、会話を楽しみながらアツアツのケーキをほおばり、冷えた身体もぽかぽかになりました。

少しすると、スペイン語を話す６名のお客様が３階に上がってきました。大きな声で話したり、客席に面した洗面所の扉を開け放したままにしたり、６名別々の席に座るなど、かなりマナーの悪い態度。しばらくメニューを見たり、荷物を広げたりしていたのですが、あろうことか、１名の女性が「お茶は飲みたくない」と言いだし、６名揃って席を立ってしまいました。店主さんは、嫌な顔ひとつせず、散らかった席を片づけ、騒がしかった事をこちらに詫びてくれました。そして、「日本のお客様大好き」と一言。日本人にはそんな人たちはいない事を願いつつ、それでも笑顔を絶やさなかった店主さんに、心の中で拍手を送った私達でした。

予約後、メールで到着時間の確認があった。返信すると、13:00以降はスタッフがいないので、表のドアに設置したミニ金庫から部屋の鍵を入手し、自ら開けて入るようにとの案内だった。アクセスや周辺の案内、鍵の開け方等、別紙に写真がついて丁寧に解説されていた。いざ到着し、鍵の入手まではスムーズだったが、ドアの開錠に手こずり、普通のホテルに宿泊すればよかったかもと、後悔の念が少し湧きつつあった頃に、やっと開錠。部屋に入ると、タオルアートがお出迎えしてくれ一気に心が和んだ！

翌朝、食堂に行くと、女性スタッフが笑顔で自己紹介をしながら握手のお出迎え。シチリアスタイルの朝食を説明しながら、こちらの好みや希望に合わせて、提供してくれた。果物アートも可愛くて感激だった。食後は、オーナーのご主人から観光案内があった。シチリアの歴史や文化、美味しい食事やお店の定休日、絶景ポイント等々。タブレットや画像を合わせながらコミュニケーションを取り、こちらが何を言おうとしているのか根気よく探ってくれた。

翌日、私は体調を崩してしまい、朝食の途中で部屋に戻り1日中寝込んでいた。翌朝は回復し、前日に朝食を残してしまったお詫びをしようとすると、ご主人が先に気遣いの言葉をかけてくれた。すでにチェックアウトの時間だったが「君達の時間が大丈夫なら、僕らの時間はOKだよ」と朝食を提供してくれた。最後、ご主人から教えて頂いたシチリア式のハグの挨拶でお別れをし、次回の宿泊時に、リピーターだということがわかる様にと、オリジナルのマグネットをくれた。部屋や朝食に込められたおもてなしの心、スタッフの親しみやすさ、臨機応変の気遣い。ここのクチコミがよい理由がわかった。チャオ、また来るからね！

「ゆったり穏やかに営業しています。お急ぎの方はご遠慮ください」という札の前を通り、入口にある筆文字のメニューを見ると、あげ野菜付きの「おろしそば」と「とろろそば」２種類のみのメニュー。玄関には「なにかと手薄なお店です」と筆文字の張り紙がありました。でも、手薄なんてとんでもない。開店時間１０分前なのに、おかみさんが外まで出て来て中へ招き入れてくれました。

おかみさんが案内してくれた待合室。まるで、田舎の親戚の家といった感じでした。古いレコードや本が棚に飾られ、レトロな家具や行燈もあり、懐かしい雰囲気の中で待っていると、店主さんが来て正座をし、「いらっしゃいませ。メニューは２品だけですが、よろしいですか?」と確認し、オーダーを聞いてくれました。こちらも居住まいを正し、礼儀正しいお客様になってしまいました。別のお客様たちも、同様に礼儀正しく対応し、お客様同士も笑顔で会釈。いい雰囲気でした。しばらくレトロな空間に浸っていると、まずは一組目の私たちに、おかみさんから食堂へ案内がありました。

全てがセルフサービスだと説明があり、お茶を取りに行くと、「熱いので気をつけてください」など、心がこもった筆文字の案内が貼ってありました。しばらくアトリエ風の木造りの食堂でのんびり景色などを見ていると、地元で採れた新鮮野菜の素揚げがいっぱい入った丼が提供されました。「お待たせしてすみません。間もなくお蕎麦が出来上がりますので、しばらくあげ野菜を楽しんでいて下さいね」とおかみさんに言われ、あげ野菜を食べ始めると、丼の中にはかき氷のような荒削りの大根おろしと蕎麦のつけ汁がたっぷり。素材の味が引き立つ美味しい野菜でした。しばらくすると、打ち立ての十割蕎麦が到着。会話が少なくても、笑顔と丁寧な対応、心のこもった手書きの張り紙とレトロな空間、美味しいお蕎麦と野菜に大満足。また来たいと思えるお蕎麦屋さんでした。

介護用品探しの最初は、高齢者に人気の新宿京王百貨店に行ってみました。若い女性スタッフが丁寧に受け答えしてはくれましたが、知識も経験も少ないせいか、説明やお勧めがあまりなく、別のスタッフに聞くなどもしてくれましたが、そのスタッフも詳しくないようで、要望に合ったお勧めがないまま、最終的にはドラッグストアを案内されてしまいました。もっと色々相談したいのに、とても残念でした。

数日後、たまたま通りがかった介護用品専門店に入ってみました。店内にいたスタッフ(６０代位の女性)は、柔らかな笑顔と優しい声で「こんにちは。何かお困りですか?」と、こちらの様子を窺いながら声を掛けてくれました。病院やホテルに商品を卸したり、レンタルをしている店舗との事。こちらの心配事を色々聞き出してくれ、アドバイスも頂いた後、「介護に関係なく、ゴルフをされるご高齢の方たちにも人気なんですよ。お試しになってみませんか?」と、介護パンツらしくない素敵な紙パンツを2種類2組ずつ無料でくれました。

父のベッドのスプリングがへたってきたので、何か補強できるものはないかと相談すると、特別なシリコン製の座布団サイズのベッドパットを見せてくれました。小さいけれど、結構なお値段。はたして父のベッドに合うのかどうかと考えていると、「１週間お試しになってみませんか?」と無料でサンプルを貸し出してくれました。「ソファーや椅子にもご利用頂けますし、病院のベッドに持ち込まれるお客様もいらっしゃるんですよ」と、他のお客様の話も聞かせてくれました。紙パンツもベッドパットも試させて頂き、父も案外あっさりと受け入れてくれ、どちらも購入させて頂く事にしました。今後も何かあったら相談に行きたいと思っています。

商品を割ってしまっては大変!という気持ちが先走り、陶器や食器を取り扱うお店にはなんとなく入店しづらかったり、商品を手に取りにくかったりするという人は多いはず。そんな中、この店舗のスタッフはいつも通路に出て来て、優しく声を掛けてくれるので、自然店内に引き込まれて行きます。「いらっしゃいませ。どうぞお気軽にお手に取ってみてください」「ほら、こんな風に透かして見ると、また違った雰囲気で 楽しめるんですよ」と、スタッフの方から先に商品を手に取って、にこやかに器に触れる事を勧めてくれます。

この日、私は80歳を迎える老紳士への誕生祝いのお品を 相談。ウイスキーや焼酎、時にはワインを楽しまれていると 話すと、少し厚手の赤い切子細工のタンブラーを勧めてくれ ました。「南天の赤は、難を転じて福をもたらせてくれる色」などの商品説明に加え、作家さんのこだわりなども話してくれ、購入を決断。完璧な商品説明も良かったのですが、会計時、ちょっとした会話を交わしながら、商品をいとおしそうに包装するスタッフの表情からも商品への愛情が伝わってきて、この人から買うことが出来て良かった、と思わせてくれるのです。

と、ここまで読むと、良く出来た接客だと思われると思います。確かに、笑顔、挨拶、アプローチ、商品説明などなど完 璧な接客です。送る先様にも喜ばれるので、ついついプレゼ ント選びに迷う時は、こちらに相談に来てしまいます。でも、困った事に、こちらのスタッフは、お客様の顔を全く覚えようとしないのです。いつ行っても新規のお客様扱い。購入の翌日、ショップの前を通っても、はじめて会うお客様のように「どうぞお手に取って・・・」と始まります。もう3年も前から利用しているのに。同じ説明を何度も聞いてしまう事もしばしば。そろそろ覚えて頂きたいなぁと思っているこの頃です。